中村宿毛道路全通1年 豪雨時に代替路として機能

国土交通省中村河川国道事務所(田中元幸所長)はこのほど、昨年7月5日に全線開通した一般国道56号中村宿毛道路の開通1年後の開通効果を公表した。同道は、高知県四万十市~宿毛市間の円滑な交通確保と道路冠水などによる通行止め解消を目的に整備。まとめでは、同道路と、並行する国道56号の防災、交通安全、産業、物流、観光面など多岐にわたるダブルネットワーク効果を紹介している。

四万十市~宿毛市を繋ぐ自動車専用道路(延長20・7㌔)と、四万十市街地の交通混雑を緩和する一般道路(延長7・6㌔)からなる一般国道56号中村宿毛道路は、1976年度に事業化。昨年7月に平田IC~宿毛和田IC間(延長7・6㌔)が開通したことにより全線開通した。

中村河川国道事務所の調査によると、開通1年後の交通状況では、平田IC~宿毛和田ICと並行する国道56号の断面交通量は1日約1万3500台で、開通前の1万3200台と比べ約300台増加。このうち約4割にあたる1日約6千台が中村宿毛道路に交通が転換したことがわかった。また、四万十IC~平田ICでも同道路の利用率が約5割~約7割に増加した。

防災面では、宿毛市平田町付近の路面冠水多発箇所の回避が可能になり、交通途絶リスクが軽減。今年7月18日の豪雨で国道56号が通行止めになったが、中村宿毛道路が代替路として機能し、地域間交通を維持することが可能になり、地域の防災力が向上した。

交通安全では、平田IC~宿毛和田ICでは、同国道の死傷事故率が約7割低下し、多発していた交差点事故が約8割減少。中村宿毛道路へ大型車の交通転換が図られ、同国道をミニバイクで通学する高校生の安全性が向上。産業面では、平田IC付近に集積する宿毛市の製造業など多くの企業では、輸送効率の向上により、同市の製造品出荷額等が増加し、地域産業の活性化などの整備効果があったとしている。

パーマリンク