27年度までに社会実験 自動物流道路検討会議中間まとめ 新東名・新秦野~新御殿場で

国土交通省は7月26日、自動物流道路に関する検討会の中間とりまとめを公表した。東京と大阪を結ぶ長距離幹線輸送の実現に向けて、まずは10年後を目途に小規模な改良で実装できる区間に先行ルートを整備する。技術検証のため、建設中の新東名高速道路・新秦野~新御殿場間で27年度までに社会実験を行う。

自動物流道路は道路の中央分離帯や路肩、地下トンネルなどに自動走行カートを走らせて荷物を運搬する新たな物流形態。小口荷物の多頻度輸送を可能とし、人手不足による物流危機の抜本的な解消につなげる。クリーンエネルギーを活用して環境負荷を抑える。

コンセプトには「持続可能で、賢く、安全な、全く新しいカーボンニュートラル型の物流革新プラットフォーム」を掲げる。想定ルートは物流の最も多い東京~大阪間を念頭に置き、段階的に運用を始めていく。第1期区間は小規模な改良に実装できる区間や、大都市近郊で特に渋滞が発生する区間などを想定する。

新東名の新秦野~新御殿場間などに設定する実験線では、自動物流道路の実現に必要なインフラ、輸送カート、拠点、システムなどの各種技術やオペレーションを検証する。自動走行システム、走行中給電、AI(人工知能)など進展する新技術も活用していく。

物流倉庫や高速道路のSA・PA、貨物鉄道駅などの配置を踏まえ、自動物流道路と他のモードを繋ぐ拠点を設定し、自動で効率的に接続できるようにする。自動物流道路で輸送する荷物の規格は1100㍉×1100㍉×1800㍉とする。

整備にあたっては民間資金の活用を想定する。民間活用に向けて、意欲ある人材を集めた組織の設立も見込む。国交省がこれまでに検討会で示した試算によると、10㌔あたりの概算工費は地上部で254億円、地下部で70億~800億円と見積もられている。

自動物流道路を社会インフラとして機能させるため、建設・運営主体に対する公的な関与の仕組みも検討する。

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