[caption id="attachment_15519" align="alignleft" width="300"] 高橋副大臣に説明する河野会長[/caption]
2025年度当初予算の審議を控える中、全国高速道路建設協議会(会長=河野俊嗣宮崎県知事)は9日、国への要望活動を実施した。気候変動の影響等で激甚化・頻発化する自然災害の脅威、令和6年度能登半島地震をはじめ今後想定される大規模地震、疲弊した地域経済の復興等に対応していくため、河野会長は「ミッシングリンクの早期解消によるダブルネットワークの構築や暫定2車線区間の4車線化は早期に」とした上で、来年度当初予算における道路関係予算の拡大、確保を訴えた。
河野会長は国土交通省、財務省、内閣府を訪れ、高橋克法国土交通副大臣、中山光輝主計局次長、丹羽克彦国土強靱化推進室次長と面談。要望書を手交した。
河野会長は、国道220号が大雨による斜面崩壊、更には今夏の日向灘地震による落石で通行止めとなる中、東九州自動車道が迂回路となり、ダブルネットワークとして代替機能を発揮した事例を紹介。「全国で約200区間の高規格道路のミッシングリンクが存在する。4車線化の推進とともに、強靱なネットワーク構築が急がれる」と提言した。
高橋副大臣は「石破内閣が掲げる地方創生のためには道路整備は不可欠。こうした事例を今後も発信してほしい」と応じ、中山主計局次長も「要望項目は財務省でも共有する」と理解を示した。
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特 別 要 望
高規格道路は、我が国の産業発展に資するとともに、大規模災害時における広域支援ルートとして国民の命を守る社会資本の要である。
気候変動の影響等で激甚化・頻発化する自然災害による脅威と、コロナ禍で疲弊した地域経済の復興等に対応していくため、ミッシングリンクの早期解消によるダブルネットワークの構築や暫定2車線の4車線化、スマートICの整備など既存高速道路の機能強化は喫緊の課題であり、財政が逼迫する中、国民の生命・財産を守る高規格道路ネットワークの構築、持続可能な維持管理に向けて、次に掲げる事項の実現を強く要望する。
一、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策について、令和六年度補正予算において例年以上の規模で、必要な予算・財源を確保すること
一、また、令和六年能登半島地震などの大規模地震や、今夏各地を襲った豪雨による災害などを踏まえ、既設構造物の機能強化などを推進するため、国土強靱化基本法に基づく国土強靱化実施中期計画を早期に策定し、必要な予算・財源を通常予算とは別枠で確保すること
一、我が国の生産性を向上させ、成長力及び国際競争力を強化するため、高規格道路のミッシングリンクの解消及び暫定2車線の4車線化、新東名・新名神の6車線化を推進すること
一、有料の高速道路について、料金徴収期間の延長による財源を活用し、更新事業や耐震補強、暫定2車線の4車線化などの機能強化を着実に進めること
また、国が管理する無料の高速道路において、必要に応じて機能強化を図りつつ、維持管理を確実に実施するため、有料制度の活用など安定的な財源の確保について、地域の意見も踏まえ検討すること
一、高速道路のさらなる利活用を促進し、カーボンニュートラルの推進やドライバー不足への対応の観点から、ピンポイント渋滞対策の実施及びスマートICの整備、ETC専用化、休憩施設の機能強化等を推進すること
一、インバウンド回復や国内交流拡大による観光振興に向け、高速道路の観光周遊パスを自治体や観光事業者等との連携を強化しつつ拡大するとともに、観光地における過度な交通集中による混雑の緩和を図るため、混雑状況に応じて料金を可変とするロードプライシングや、休日と平日のバランスの見直しなど、観光需要の分散・平準化のための高速道路料金割引の見直しを実施すること
一、国内投資拡大や生産性向上など、我が国の経済成長に貢献する観点から、資材価格の高騰や賃金水準の上昇に対応する中でも計画的・長期安定的な道路整備・管理が進められるよう、新たな財源を創設するとともに、2025年度予算では、道路関係予算を拡大した上で、所要額を満額確保すること。また、国土強靱化だけでなく、我が国の生産性を向上させ、成長力・国際競争力を強化するためにも、公共事業を含む2024年度補正予算を確保すること
2024年12月9日
全国高速道路建設協議会