NEXCO西日本が手掛けた建設事業・災害復旧事業4件がこのほど、19年度の土木学会「土木学会賞技術賞」と「プレストレストコンクリート工学会賞作品賞・施工技術賞」を受賞した。
このうち、西日本を中心に大規模災害が発生した18年度、同年9月の台風21号により関西国際空港連絡橋へタンカー船が衝突、大破した事故からの早期復旧や、西日本豪雨による土砂崩落により橋桁が崩落するという前例のない災害となった高知自動車道・立川橋の復旧工事が土木学会賞技術賞、プレストレストコンクリート工学会賞施工技術賞を受賞。災害復旧に果たした同社の役割が高く評価された。
受賞した工事、概要は次の通り。
◆新名神高速道路・神戸JCTの建設(土木学会賞技術賞Ⅰグループ)
供用中の高速道路に近接することへの対応や現場の土質特性への対応など、非常に厳しい施工条件のもと、切り替えステップの立案や過去に例のない工法の採用などにより、周辺環境への影響低減や大幅な工程短縮を実現。本事業で培った計画から施工までの一連の技術は、通行止めなどの社会的影響を最小限化するなど、今後本格化する老朽化した道路の大規模修繕工事を円滑に進める上でも、模範となる事業である。
◆関西国際空港連絡橋へのタンカー船の衝突による大破からの復旧(土木学会賞技術賞Ⅱグループ)
関西国際空港へのアクセス道路という重要な構造物への船舶衝突という類を見ない災害に対して、迅速な初動対応により早期に交通開放し、空港機能の確保に貢献するとともに、本復旧においても通常の橋梁工事と比べて約1年の工程短縮により7カ月という短期間で完成させたことは、社会経済活動に大きく貢献した事業である。
◆新名神高速道路・楊梅山高架橋(プレストレストコンクリート工学会賞作品賞・土木部門)
高槻JCT・ICの近傍に位置し、橋長1100㍍を超える大規模な橋梁であること、また、橋台部は高さ約60㍍の高盛土上に構築されている条件のもと、幅員の大幅な変化や、高盛土に隣接する橋脚の土圧軽減対策として異なる橋梁形式を組み合わせるなどの工夫を行った。また、大規模PC構造物の品質確保や施工の合理化に挑んだことは、プレストレストコンクリート技術の発展に貢献した技術である。
◆高知自動車道・新宮IC~大豊IC間災害復旧工事(プレストレストコンクリート工学会賞施工技術賞)
西日本豪雨に伴う大規模な土砂崩落により橋桁が流出する過去に例のない災害に対して、早期復旧を目指した中、プレキャストプレテンホロー桁の採用などの工夫を行い、1年という期間に完成させ4車線復旧を行ったことは、プレストレストコンクリート技術の発展に貢献した技術である。