社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会(部会長=朝倉康夫東京工業大学環境・社会理工学院教授)は6月28日の会合で、高いサービス水準を維持するために必要な費用負担について審議を行った。現在無料となっている高速道路について、受益者負担の考え方をベースに一部を有料化することを検討。料金収入を活用した機能強化や維持管理費用の安定確保につなげていきたい考え。今夏の中間答申に施策の具体化を求める記述を盛り込む見込みだ。
有料化を見据える区間の事例として名阪国道が挙げられた。名阪国道は無料だが、名古屋と大阪を結ぶ交通の多くを支えている。交通容量に対する稼働率は90%前後で推移。損傷した路面の補修に費用がかさんでいる。
部会では、現在無料となっている高速道路における負担のあり方(案)として、以下の考え方が示された。
- 無料の高速道路についても、直接の利用者が高速道路により提供される速達性・定時性・安全性等により受益することから、メンテナンスの重要性が高まったことも踏まえ、維持管理費用を利用者が負担することを基本とすべき。
- ただし、路線や区間毎に、並行する一般道路の有無など周辺ネットワークの状況や整備の経緯等が異なり、また地域政策的な観点も重要なことから、地域の意見を聴取した上で、利用交通に与える影響も含めて有料化について検討する必要。
- 無料区間と有料区間が交互に出現するような高速道路においては、全線における統一した整理に向けて検討する必要。また、都市部の無料の高速道路について、渋滞等の交通状況も踏まえつつ、料金収入を活用した機能強化も含め、有料化に関する方向性について検討する必要。
また、将来の維持管理についての負担のあり方(案)も示された。「維持管理のために必要な財源を確保するため、利用者負担を継続することを基本とすべき」としつつも、維持管理のために無期限で料金徴収を継続するかどうかという論点は「道路交通を取り巻く環境の大幅な変化等も想定しつつ、将来の見通しについての整理を進めた上で引き続き議論する必要」があるとされた。