[caption id="attachment_13442" align="alignleft" width="300"] 足場が組まれて要塞のように。工事は着々と進む[/caption]
北野牧トンネル16日公開
上信越自動車道のリニューアル工事で、群馬県安中市の北野牧トンネル西坑口上部にある巨大な岩塊を撤去する大規模工事が本格的に始まった。断崖絶壁の状態で、風化や地震による将来的な落石リスクを解消することが目的。NEXCO東日本関東支社によると、今後、昼夜連続での作業等により、2029年4月の完成を目指すという。
岩塊は上信越道・松井田妙義IC~碓氷軽井沢IC間にある北野牧トンネル(延長190㍍)の長野県側の入口上部にそびえる。16日には、高さ70㍍、平均斜度70度と垂直に近い岩塊に、撤去作業に向け巨大な足場が組まれた、要塞のような現場が報道陣に公開された。
この岩塊については、1996年に起きた北海道の豊浜トンネル崩落事故を受けて行われた点検で、震度5以上の中規模以上の地震で落石する恐れがあることが有識者委員会の調査等で判明。2014年に岩塊を除去する方針が決まり、17年に準備工事がスタート。6年かけて砦のような足場が組み上がった。
工事にあたっては、1200本のロックボルトを打ち込んで表面を固定し、トンネル内や地表に計70カ所にセンサーを設置。震度4以上の地震が発生した場合は本背を通行止めにして安全を点検する。
作業では、トンネルと反対の裏側から岩塊を掘削して運び出す。周辺は妙義山系の急峻な地形なため、現場まで作業員を運ぶモノレールや大型トラック2台分を載せられるエレベーター等が設置された。岩塊は崩落の危険がなくなる約30㍍になるまで撤去し、撤去量は約10万立方㍍に上る。
16日には岩塊の頂上付近で安全祈願祭が行われた。施工者の大林組の担当者は「本線を止めることなく、慎重に工事を行う」と語り、気を引き締める。