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国土交通省関東地方整備局とNEXCO中日本は11月22日、「中部横断自動車道(新清水JCT~増穂IC間)連絡調整会議(第2回)」を山梨県庁で開き、新清水JCT~増穂IC間(延長58・3㌔)の全線開通が19年度にずれ込む見通しであることが示された。
工事が進む同区間では9月末時点で、本線用地が新清水JCT~富沢IC間では約99%、富沢IC~増穂IC間で100%取得済み。トンネル30本(合計延長約32・6㌔)はすべて工事着手され、約2割で掘削が未了となっている。橋梁についても58橋のうち35橋が未完成という状況となっている。
現場では想定以上に脆い地盤でのトンネル掘削や、掘削土に含まれる自然由来の貴金属の処理など課題が発生、難工事となっている。
工事完了が最も遅れる見通しなのは、南部IC~下部温泉早川IC間で19年度の開通見通し。北寄りの六郷IC~増穂IC間は予定通り16年度の開通で、その他は18年度の開通見通しとされた。
こうした状況を受けて、11月30日には後藤斎山梨県知事が、今月2日には川勝平太静岡県知事が現場を視察した。
後藤山梨県知事は身延町の(仮)大島第2トンネル、南部町の南部ICの現場を回り、関東地方整備局甲府河川国道事務所から工事の進捗状況等について説明を受けた。視察後、(仮)富士川橋橋上で囲み取材に応じた後藤山梨県知事は、延期等は難工事によるものと理解を示した上で、新たな開通目標について「開通目標が明確になったことで、全線開通に向け、沿線地域、県民生活、経済活動等のプラスに活用できるように、沿線自治体等とも連携しながら、まちづくりを強力に進めていかなければならないということを改めて感じた」と語り、事業者に対しては、「中部横断道は県の要となる道路。県民の期待も高く、コスト縮減を図りつつ、安全安心の信頼性の高い高速道路の構築と一日も早い全線開通を、引き続きお願いしていきたい」と語った。
川勝静岡県知事は富沢IC以南の南部町の森山トンネルと福士川第一橋を現場視察し、併せて県境を跨ぐ樽峠トンネルについても、NEXCO中日本の現場責任者から工事が遅れた原因と今後の見通しについて説明を受けた。
森山トンネルは、掘削土から基準値を超える重金属(ヒ素)が検出され、重金属の処理方法や運搬に伴う地元調整の状況に加え、昼夜の作業で工期の遅れを取り戻す今後の方針を聞いた。
また、樽峠トンネルでは、想定以上に脆い地盤が原因となっている掘削時の崩落や断面変形の状況とともに、対策を踏まえた今後の工程の見込みについて聞いた。
川勝知事は「現場でしっかりとした説明を聞けば延期の理由も納得できる」と語り、今後も現場に出向いて状況を把握していく“現場主義”の考えを示した。