国交省「道路5か年対策プロジェクト」公表 国土強靱化へ機能強化着手 高規格29区間、新たに開通見通し

国土交通省は4月27日、「防災・減災、国土強靱化に向けた道路の5か年対策プログラム」を発表した。整備中の高規格道路や直轄国道のうち112区間で開通目標の時期を明らかにしたほか、老朽化した橋梁やトンネルをリストアップ。期間内に約7割で修繕に着手する。事業には「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(21~25年度)の予算を活用。近年、激甚化・頻発化する気象災害や大規模地震の発生が懸念される状況を踏まえ、強靭な道路ネットワークの構築を急ぐ方針だ。

4車線化優先整備区間47%着手目標

同プログラムは「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に位置付けられた目標や事業規模などを踏まえたもの。国交省が複数年度にわたる道路の計画を策定するのは、旧建設省時代の1998年に閣議決定された「道路整備5箇年計画」以来となる。

昨年10月以降、国交相の諮問機関、社会資本整備審議会道路分科会に地方小委員会を設け、プログラム策定に向けた検討作業に着手。今回、①高規格道路のミッシングリンク解消及び4車線化、高規格道路と直轄国道とのダブルネットワーク化等による道路ネットワークの機能強化対策②道路施設の老朽化対策③渡河部の橋梁や河川に隣接する道路構造物の流失防止対策④道路の高架区間等を活用した津波や洪水からの浸水避難対策⑤道路の法面・盛土の土砂災害防止対策⑥市街地等の緊急輸送道路における無電柱化対策⑦ITを活用した道路管理体制の強化対策――以上7点の取り組みに基づく事業を示した。

5か年加速化対策では、災害に強い国土幹線道路ネットワークの構築を目指すため、25年度までに高規格道路のミッシングリンク約200区間のうち約30%、有料区間の4車線化は優先整備区間約880㌔のうち約47%で着手する目標を明示。これらの目標に対応した中期的な開通見通しがプログラム中で示された=「5か年加速化対策」高規格道路の機能強化対策の中長期目標=。

ブロック別の対策期間中の開通見通し箇所の件数は▽北海道20区間▽東北24区間▽関東8区間▽北陸9区間▽中部13区間▽近畿19区間▽四国4区間▽九州12区間▽沖縄3区間。このうち、高規格道路で新たに開通見通しが公表された区間は29区間、総延長106・7㌔となった=開通見通し一覧表=。

主な事業を見ると、北海道開発局は北海道横断自動車道・阿寒IC~釧路西IC間(延長17・0㌔)を24年度までに、北海道縦貫自動車道・音威子府バイパスの音威子府IC~中川IC(延長19・0㌔)を25年度までに開通させる。東北地方整備局では、22年内の予定だった東北中央自動車道・村山北IC~大石田村山IC間(延長4・5㌔)の開通を前倒しし、21年度の開通を目指す。

関東地方整備局では、山梨県内で施工する中部横断自動車道・南部IC~下部温泉早川IC間(延長13・2㌔)の工事を夏頃完了させ、本年9月の開通を目指す。

中部地方整備局では、三遠南信自動車の東栄IC~鳳来峡IC間(延長7・1㌔)の開通について、トンネル工事が順調に進んだ場合との条件付きで25年度と公表。近畿地方整備局では、中部縦貫自動車道・大野油坂道路の和泉IC~油坂出入口IC間(延長15・5㌔)について26年春頃の開通見通しであることが公表された。

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