国土幹線部会 能登地震踏まえ高規格道路のあり方 6月までに緊急提言

社会資本整備審議会の道路分科会国土幹線道路部会は5日、能登半島地震を踏まえた広域道路ネットワークのあり方について検討。今後、同様の被害が今後も発生することが懸念される状況下、盛り土の崩落が多数発生したことなどにも着目し、5~6月頃に緊急提言をまとめ、高規格道路に関する必要施策を示すことが確認された。

会合では、土木学会調査団の一員として、2月5、6日に石川県玖珠市と輪島市の被災箇所を調査した家田仁委員(政策研究大学院大特別教授)が調査結果を報告。能登半島地震の地震特性や人口特性から「全国で起こりうる地方部災害の典型事例」との見方を示し、今後の防災対策に活かしていくべきと強調した。

能登半島地震の現場では、高規格道路の高盛り土区間で大規模崩落が多発し、災害対応に活用できなかった。家田委員は現行基準に満たない「既存不適格」の区間で崩落が多発したと指摘。平時から盛り土の耐震性を調査し、補強が必要な区間から対策を進める仕組みの導入を提言した。

一方、2013年に改定した新たな締固め基準で整備された盛り土の被害は軽微だったとの調査結果も報告。「技術的な検討の方向性は正しい」との見方を示した。

また、人口減少と高齢化が進む中、行政を中心とした災害の対応体制に限界があることから、民間等の力を活用する新たな防災対策の構築が必要であることも確認。全国に約47万社ある建設会社を「地域インフラマネジメント産業」に位置付け、「維持管理や災害時の対応を任せる機能が期待できる」とされた。

家田委員は「高規格道路は、いざという時に活躍すべきインフラ」とした上で、重要区間から計画的に減災補強を進める重要性を指摘。今後の整備についても「高規格道路をより集中的に進めていく必要がある」とし、委員からは緊急提言について「高規格道路とはこうあるべきと打ち出すべき」等の意見が出された。

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