社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会(会長=朝倉康夫東京工業大学名誉教授・神戸大学名誉教授)は16日、国土交通省で会合を開き、高速道路の更新・進化の取組等について審議した。高速道路のSA・PAで不足する駐車場スペースを拡充する手法として、立体構造化を選択肢に加え、検討していく方針が確認された。
高速道路のSA・PAの混雑解消やトラックドライバーの労働環境改善に向け、駐車場スペースの確保を喫緊の課題となっている。高速道路会社等で構成される「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する検討会」では、駐車容量・駐車効率の向上に向け、今後の駐車マスの拡充について現状と課題、対策を中間とりまとめとして公表、同部会で報告された。
高速道路のSA・PAは全国に852カ所。中間とりまとめによると、24時間の中で最も駐車台数が多い時間帯の需要率が120%超える施設は505カ所(59%)に達し、全国的に不足している。
現在は隣接地の取得によるエリア拡張のほか、休憩施設内の園地部を活用したり、有料の予約制駐車マスを設けて確実に駐車できるようにした対策等を推進している。
但し現状では、周辺が市街地化された地域では、駐車エリアの拡張や新しい施設の設置が難しいケースが多い。有料化は2021年度以降、一部の地域で導入されたものの、近隣の無料のSA・PA駐車場から車両が流入するなど、根本的な解決とはなっていないという。
このため中間とりまとめでは、新たに駐車容量を向上させる新たな手法として、駐車マスの立体構造化が提案された。例えば1階に大型車、2回に小型車が駐車するなど、今後検討していくことを確認。駐車エリアの拡張やSA・PAの新設、IC周辺への休憩施設の新設等と並ぶ整備手法として位置付けられ、新たな用地取得が難しい箇所などでの採用を見込む。
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「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する検討会」では今後、中間とりまとめをもとにヒアリング、論点整理等を実施し、23年度中にとりまとめを行う予定。