圏央道「みち未来シンポジウム」活用策等活発に意見交換~整備率9割を迎える今年度に期待

丸の内で催されたシンポには多くの聴講者が

首都圏中央連絡自動車道の活用策を考察する「みち未来シンポジウム」(読売新聞社主催)がこのほど東京・丸の内で催され、千葉県の森田健作知事が「県全域に広がる圏央道の開通効果」について基調講演。その後、堀井宏悦読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員をコーディネーターに、夏目誠・成田国際空港代表取締役社長、日本みち研究所の理事長でもある石田東生筑波大学教授、粂原恒久小江戸川越観光協会会長、藤沢久美シンクタンク・ソフィアバンク代表、越智繁雄国交省関東地方整備局長の5パネリストによるパネルディスカッション「関東圏を変える圏央道」が行われ、つながることによって広がる沿線地域の可能性について活発な意見が交わされた。

森田知事は、「前回のオリンピックは中学3年生の時に来た。それまで、トイレの汲み取り屋さんが来ていたのがバキュームカーが来るようになった。バレーボールが優勝し、日本全体が盛り上がり、人・モノの流れが大きく変わった。この時の熱い思いが日本の経済発展の大きな原動力になった」と振り返り、圏央道全通に不可欠な大栄JCT~松尾横芝間(延長約19㌔)について「20年の東京オリンピックまでに整備したい。多くの観光客が成田に来るときに東関東道しかないのでは、何かあった時に困る」と述べ、渋滞の激しい首都圏を通らずに常磐道へアクセスすることが可能となる6月の神崎~大栄JCTの開通を評価しながら、次の一手へ期待を滲ませた。
また、東京外かんと繋がる北千葉道路や圏央道の暫定2車線区間にも言及し、「人・モノをスムーズに運ぶことも『おもてなし』」と笑顔を見せた。
一方、シンポジウムでは、今年度中に整備率が7割から9割に高まる圏央道について、「大栄JCT~松尾横芝間の整備で成田空港へのアクセスは向上する。首都圏の空港機能の強化は重要であり、1日も早い整備を望んでいる。お客様に選ばれる空港を目指したい」(夏目社長)、「海外の方から技術力のある日本の中小企業を視察したいと言われる。空陸がつながれば中小企業にチャンスが広がる。成田を降りて『産業観光』することも圏央道によって可能となる」(藤沢代表)、「観光客が増加し、6カ国語のパンフを作っている。オリンピックに向けてボランティアによる通訳団も要請している。新しい観光ツールを頂いただけに止まらず、あらゆる観光地の案内拠点になりたい」(粂原会長)、「これからどう賢く使うかのポイントは料金。圏央道は1㌔当たりの料金が首都高速よりも高い。料金体系を再整理しないと、このままでは安い都心ルートを通ってしまう。情報提供のあり方も大きな課題」(石田教授)と、新たな利用方法等、積極的な提案がなされた。
上空から圏央道を撮影し、地域の特色をわかりやすく紹介する動画を放映した越智局長は「圏央道は首都直下地震に備えた緊急輸送道路になる。東日本大震災での『くしの歯作戦』を教訓に、都心部でも『八方向作戦』を打ち出している。3環状を始めとした社会資本整備にしっかり取り組んで次世代に引き継いで行きたい」と決意を新たにした。
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