常磐自動車道 常磐富岡IC~浪江IC間3月1日待望の全通

復興の加速へ期待感高まる
 未曽有の被害となった東日本大震災から今年で4年。復興の加速が求められる中、首都圏と東北地方を結ぶ大動脈、常磐自動車道・常磐富岡IC~浪江IC間(延長14・3㌔)が開通、待望の全通を迎えた。常磐道のうち、唯一未開通となっていた同区間は平成14年に着工。震災と福島第一原発事故で約2年、作業の中断を余儀なくされた。資機材や作業員の不足、放射線量の管理など様々な困難に直面したものの、NEXCO東日本、施工事業者等の一体となった取り組み、そして復興の加速化を目指す政府の決断もあり、当初計画よりも前倒し開通が実現した。
 常磐自動車道は昭和41年の予定路線決定からほぼ半世紀を経て、今回、待望の全通を迎えた。
 東日本大震災の被災地付近を縦走する福島県の常磐富岡ICから宮城県の山元ICに至る区間では、既報の通り昨年12月に浪江~南相馬間と相馬~山元間の2区間が開通。福島県浪江町から仙台市まで高規格幹線道路で繋がった。
 唯一残された常磐富岡IC~浪江IC間は、福間原発に近いことから、放射能対策の徹底、資機材や人手不足など困難に直面。開通に向け、悪天候下でも施工が進むよう橋梁工事現場にエアドームを設置したほか、相馬港経由での舗装用砕石確保など、様々な工夫が凝らされた。
 常磐富岡IC付近本線上で行われた開通セレモニーに出席した安倍晋三首相は「一日も早い開通をという関係者全員の思いが、早期全線開通の大きな原動力になった」と挨拶した。

更に安倍首相は「常磐道が繋がることで、浜通りの観光振興や企業立地の促進、生活支援、そして復興の加速が期待される」と、開通の意義を強調。「常磐道は復興のシンボルであり、今回の全通は福島復興の起爆剤になると確信しているとともに、そうしなければならないと固く決意している」と語った。
 テープカットには安倍首相、太田昭宏国土交通大臣のほか、竹下亘復興大臣、望月義夫環境大臣・内閣府特命担当大臣(原子力防災)など国会議員、内堀雅雄福島県知事ほか沿線首長、廣瀨博NEXCO東日本社長、施工関係者などが参加。司会者の掛け声でテープカット、くす玉開披が行われ、盛大な拍手の中、“祝開通”の幕が躍った。
 通り初めに続いて、場所を旧浪江町役場に移して行われた開通式典では、冒頭、内堀知事が「常磐道は被災地の未来を切り拓く希望の道。今後の復興へ力強い追い風となる。全通を契機に“新生ふくしま”の創造を目指す」と挨拶した。

続く来賓祝辞では、太田国交相が「東日本大震災から4年。発災直後から様々な困難に直面しながら、関係者の尽力で全通に漕ぎ着けることができた。常磐道全通により地域の復興を地元の方々に実感していただけるものと思う」と挨拶。更に太田国交相は「常磐道は現在、いわき中央ICから岩沼ICまで暫定2車線で供用されているが、利用状況を見ながら4車線化をしっかり検討していきたい」と、4車線化事業の推進を明言した。
 式典では、常磐道全通記念とともに東日本大震災復興を祈念した記念碑の除幕式も行われた。
 記念碑は曹洞宗開祖・道元の「思い切なれば必ず遂ぐるなり」の言葉を地元の書家、渡部翠峰氏が揮毫した書をプレートにしたもの。太田国交相、内堀知事、沿線首長のほか、浪江町職員らが壇上で見守る中、披露された。
 記念碑は式典後、ならはPAに設置。東北の復興への強い思いを発信していく。

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