常磐道全線開通へカウントダウン ならはPA(下り線)で除幕式

 3月1日、常磐自動車道の全通とともにオープンする、ならはPA(下り線)で21日、被災地の子どもたちが描いた壁画と、サッカー日本代表足型・手形の除幕式が催され、関係者約100人が出席した。主催は、NPO法人ハッピーロードネット(西本由美子理事長)とNEXCO東日本東北支社いわき工事事務所(真壁正宏所長)。

 ならはPAは、道づくり・まちづくり・人づくりに取り組むハッピーロードが、「やがて大人になる子供たちに、まちづくりに参加してもらいたい」と、いわき工事事務所と連携を取りながら子供を参画させた全国初の取り組み。6年前から企画が始まり、途中東日本大震災で中断したが、子供たちの熱意で再開した。


子供たちが出したアイデアで採用されたのは、浜通りの双相地域の四季の祭りや14市町村の観光地をPRするおもてなし絵画と、サッカー日本代表選手の足型・手形の設置。壁画は平成22年に相双地域の中高生約50人が18点を描いた。足型・手形も平成22年に提供されたもので、ならはPA近くにあるJヴィレッジで合宿していた当時の長谷部誠選手、本田圭祐選手、川島永嗣選手ら32人が協力した。

 式典では、西本代表が「子供たちを導き、アイデアを形にして頂き、ありがとうございました。これからもならはPAを世界一の休憩施設にするよう応援して行きたい」と挨拶。真壁所長は「(震災がなければ)平成23年度にオープンする予定だった。今日は完成式ではなく、『誕生日』だと思っている。今後も成長するPAをこれからもご支援願いたい」と笑顔で語った。

 また、参画した子供たちを代表して、南相馬市の会社員小堀裕樹さんが「僕は、夢は叶わないものと思っていた。でも西本さんに『夢は自分で実現させるものだ』と言われてやってやると思った。今でも信じられない」と緊張した表情で挨拶した。

 壁画の除幕は、相双地域の四季を描いた4作品の前で行われ、富岡町・桜(春)、南相馬市・野馬追(夏)、新地町・福田十二神楽(秋)、浪江町・裸参り(冬)が披露されると「迫力あるなあ」と感嘆の声が報道陣から沸き起こった。

 裸参りを描いた双葉翔陽高等学校の生徒の一人、金澤奈々さんも除幕に参加。「当時、美術部員全員で、自分たちの思い出になれば良いと思って描いた。今は震災の影響で裸参りはなくなってしまいましたが、PAに来て頂いた皆さんが浪江町に興味を持ってくれたら嬉しいです」と語った。

 サッカー日本代表の足型・手形は、現在も活躍している選手のものとあって、参加者らは実際に靴を脱いで自分の足を重ねてみたり、手と手形を合わせたりと興味津々の様子だった。除幕後には、園地への桜の植樹も行われた。

 この日、式典に参加したジャーナリストの津田大介さんは「絵を通して地域を理解させる、足型・手形に触れられるというアイデアが面白い。子供を通じて文化・未来を感じさせるという新たなPAの可能性を感じた」と話した。

 ならはPAは福島県楢葉町の広野―常磐富岡の両IC間に開設。整備費は14億3000万円。トイレと自販機を設置するほか、上り線側に小型車12台、大型車11台、トレーラー2台、下り線側に小型車と大型車各11台、トレーラー2台の駐車スペースを設ける。 併設のスマートICは平成30年度にオープン予定。

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