新型コロナ対応のため、全高速の第57回総会は書面で開催された。その後休みなく展開されている各地区の要望活動の取組みを紹介する。
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暫定2車線の早期4車線化を 地域高規格道路の整備推進も課題
【全国高速自動車道市議会協議会決議】
高規格幹線道路網等は、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中においても、我が国の経済活動の大動脈として重要な役割を果たしている。また、近年、頻発・激甚化する 大規模自然災害に対して、避難や救急救命・復旧活動等の役割を果たし「命の道」として の機能を発揮している。
しかしながら、高規格幹線道路網の進捗率は高まっているものの、整備が大幅に遅れている区間が未だ残され、国土の均衡ある発展に対し重大な課題となっており一刻も早い着工が求められている。
また、既存区間においては暫定2車線の4車線化や老朽化対策などが急務となっている。
よって、本協議会の総意をもって、特に次の事項について強く要望する。
一、高規格幹線道路網 1万4000㌔の早期整備を図るとともに、高規格幹線道路と一体となって高速交通体系をなす、地域高規格道路の整備を進めること。
一、暫定2車線区間を早期に4車線化すること。
一、道路整備等を長期安定的に実施できるよう財源確保に万全を期すこと。
一、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に必要な予算・財源を安定的・ 継続的に確保し、計画的な事業の推進を図ること。
一、地震や豪雨、豪雪などの災害時でも、高速道路が交通機能を維持できるよう、盛土崩落防止や除雪対策など一層の危機管理強化を図ること。
一、橋梁やトンネル等の老朽化する道路施設の更新事業については、機能強化を併せて実施するとともに、予防保全による維持管理への転換を推進すること。
一、高速道路工事に当たっては、陥没事故等が発生しないよう十分な対策を講じること。
一、物流の効率化、地域活性化、利便性の向上等を促進するため、渋滞対策の実施やインターチェンジの整備促進、サービスエリア等の機能向上を図ること。
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ネットワーク形成へ 宿毛~内海間の早期事業化を
【四国西南地域道路整備促進協議会 高規格道路「宿毛~内海」間整備促進部会】
愛媛県愛南町と高知県宿毛市は、四国の西南端に位置し、四国西南地域の中でも地理的、地形的要因により、高規格道路をはじめとする道路整備が遅れ産業や経済面での立ち遅れを余儀なくされている。
21年7月に全国各地で発生した豪雨災害のように、想定を超える自然災害が毎年のように発生し、甚大な被害をもたらしている。とりわけ、発生確率がますます高まっている南海トラフ地震では、宿毛市で最大25㍍、愛南町でも最大17㍍の大津波が発生すると予想されており、地盤沈下を伴った長期浸水により、唯一の幹線道路である国道56号の寸断が懸念されている。特に空港から遠く、鉄道がない愛南町においては、災害発生直後からの迅速かつ円滑な支援部隊の進出のための緊急輸送ルートを確保することが必要不可欠であり、愛南町が整備する防災機能と地域交流機能を併せ持った防災休憩施設や、海上輸送拠点となる宿毛湾港の整備などと連携した、信頼性の高い高規格道路ネットワークの構築が急務となっている。
四国横断自動車道「宿毛~内海」間が早期に事業化され開通すれば、国道56号とのダブルネットワークが構築されるほか、全線開通した「中村宿毛道路」や整備が進められている「津島道路」とつながり、高規格道路ネットワークが形成される。これにより、大規模災害時の迅速かつ円滑な救援活動や緊急物資の輸送が可能となるほか、養殖マダイをはじめとする農林水産物の販路拡大など、基幹産業の更なる発展が期待できる。さらに、圏域内の周遊性が格段に向上することにより、地域の豊かな自然や歴史的資源を活かした観光客の受入体制の強化や、温暖な気候を活かした各種スポーツ大会・合宿誘致などの取組も可能となり、交流人口の拡大も期待できる。
ついては、南海トラフ地震等の自然災害への備えとして地域防災力を強化し、地域経済の活性化を図っていくためには、四国西南地域の早期の道路整備が不可欠であることから、ここに次の事項を強く要望する。
1、ポストコロナ時代の「新たな日常」を支えるとともに、地方創生及び国土強靱化を推進し、ストック効果を早期に発揮させるため、21年12月10日都市計画決定した四国横断自動車道「宿毛~内海」間の22年度事業化を図ること。
2、四国西南地域の豊かな資源を活かした産業や観光の振興と、南海トラフ地震等の大規模災害に備えた地域の安全、安心の確保に向け高規格道路の整備はもとより、その効果を地域の隅々まで波及させる道路の整備を推進するため、「防災、減災及び国土強靱化のための5か年加速化対策」に必要な道路予算の所要額を確実に確保した上で、必要となる予算の配分について配慮すること。