国土交通省の社会資本整備審議会道路分科会(部会長=寺島実郎日本総合研究所理事長)は15日、「第18回国土幹線道路部会」を開催。「高速道路を中心とした『道路を賢く使う取組』の基本方針(案)」を初めて示した。
「道路をより賢く使う取組」と「首都圏の高速道路を賢く使うための料金体系」を大きな柱にまとめられた今回の基本方針案。「首都圏の道路を賢く使う取組」では、付加車線の追加や四車線化、ETC2.0の活用、高速道路の分担率向上、休憩施設やガソリンスタンドのサービス向上、スマートICの追加設置を進め、円滑な走行性、安全性、使いやすさ、アクセス性の良さ実現に努める方針だ。
一方、「首都圏の高速道路を賢く使うための料金体系」では、様々な料金体系が混在しわかりづらさが指摘されている点を考慮し、対距離制を基本とした料金体系の整理・統一、起終点を基本とした継ぎ目のない料金の実現、混雑状況に応じた料金施策を目指す。
急ピッチで進んでいる圏央道や東京外環のネッワーク整備を進めた上で、平成28年度より料金水準の整理・統一が図られる見込み。発地と着地が同一ならばどんな経路を選択しても料金は同じ、という原則のもと、影響を検証した上で、渋滞している経路を高い料金に設定し、すいている道路に誘導するといった工夫が段階的に行われる予定。
なお、将来の高速道路の利用者負担については償還期間延長などを視野に「減少」させ、利用金の低減、管理財源確保、有料区間・無料区間の整理を進める構え。
基本方針の最終報告は「国際的な視点が欠けている」という寺島委員長の指摘を受け、さらに踏み込んだ議論が重ねられる予定となっており、今年の夏頃を目途にまとめられる見込み。
部会ではこの日、阪神高速道路の山澤倶一代表取締役社長と、NEXCO3社を代表して中日本の宮池克人代表取締役社長CEOが、道路の更新計画について、これまで以上に精査された方針を報告。阪神高速が平成27年度~41年度の15年間に3685億円、NEXCO3社が3兆64億円を大規模更新・修繕に拠出することになる。
委員の家田仁東大院教授は橋梁床版架替の説明を受け、「3~40年という短いスパンで老朽化対策をする必要性がわからない。なぜそうなったのか分析整理を」と一層の説明責任を求めた。
また、道路の破損に繋がる過積載については、多くの委員から、取締強化や制裁への意見が相次いだ。