政府は12月20日、20年度予算案を閣議決定した。国土交通省の予算案では、消費税増税対策の「臨時・特別の措置」を含む一般会計総額6兆7363億円を計上、前年度比14%増となった。被災地の復旧・復興、国民の安全・安心の確保、生産性と成長力の引上げの加速、豊かで暮らしやすい地域づくりの施策に重点的に取り組むこととしている。
このうち道路関係予算は、国費ベースで前年度比13%増の2兆1920億円を計上。特に補助事業では、道路メンテナンス事業補助、交通安全・無電柱化対策が新たに加わったことから同132%増と大幅に増加した。
道路局では20年度、12年度の笹子トンネル事故を契機に5年にわたり点検作業を進めてきた結果を踏まえ、各自治体に2巡目の点検を促す方針。点検結果を踏まえ自治体が策定する橋梁やトンネルの修繕計画に対し、個別補助制度を創設するため、道路メンテナンス補助事業として2223億円が計上された。
補助事業の創設では交通安全対策補助制度(地区内連携)、無電柱化推進計画事業補助制度等も今回加わった。
道路関係予算の内訳を見ると、直轄事業が前年度比微増の1兆5795億円、補助事業が4550億円、有料道路事業等が27%減の127億円。これに加えて、「防災・減災、国土強靭化のための緊急対策」にほぼ前年度並みの1448億円が計上され、3カ年計画の最終年度に当たる20年度において、緊急対策を集中して実施していく。
また、財政投融資1・1兆円を活用した高速道路の機能強化の加速も盛り込まれた。
財投活用による事業として①暫定2車線区間の機能強化(4車線化等)による安全性・信頼性等の向上②大都市圏環状道路の整備促進による生産性向上③更新事業の実施――が想定され、金利負担分等を差し引いた9000億円程度の事業を実施する予定。昨年選定された暫定2車線区間の優先整備区間約880㌔の4車線化等に取り組む。
2020年度 道路関係予算(PDF)
財投5500億円 新名神6車線化に 19年度補正予算案
政府は12月13日の臨時閣議で19年度補正予算案を決定。国土交通省関係の補正予算として国費総額1兆2634億円が計上された。
補正予算については、先に閣議決定された「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」に掲げられた災害からの復旧・復興と安全・安心の確保や東京五輪後の経済活力の維持・向上等に必要な経費を計上。特に防災・減災、国土強靭化の強力な推進に6496億円が計上された。
具体に見ると、災害時にも地域の輸送等を支える道路のミッシングリンク等の整備に859億円を計上。高規格幹線道路のミッシングリンクや危険箇所区域等を迂回する道路整備を実施する。
高速道路の整備では、成長力を強化する物流ネットワークの強化として国費113億円、財投5500億円を計上。この財投で、新名神の大津~城陽間、八幡京田辺~高槻間の6車線化を実施することとしている。