道路特措法改正案10日閣議決定 料金徴収期間2115年まで 更新・進化財源を確保

政府は10日、「道路整備特別措置法及び日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案」を閣議決定した。高速道路の更新や改良に必要な財源確保に向け、従来2065年までとしている高速道路の料金徴収期間を最長で2115年9月30日までと、50年間延長する。公布から3カ月以内に施行。今国会での成立を目指す。高速道路の更新・進化に必要な事業を追加する際は債務返済期間を設定し、国土交通大臣の許可申請日から50年以内とする。

公共の用に供する重要かつ基幹的インフラである高速道路を将来世代に引き継ぐべく、適切な更新事業が進むとともに、暫定2車線区間の4車線化など経済活性化、安全・安心の向上など機能強化、進化に向け大きく前進する。

同日の閣議記者会見で、斉藤鉄夫国交相は料金徴収期間を2115年としたことについて「14年以降の法定点検で新たに判明した更新事業に加え、今後更新が必要な蓋然性が高い箇所の更新財源も確保できるよう設定した」と説明。「自動化などの新しい投資も、未来社会に向けて日本が国際競争力を失わないため、推進していかなければならない」と将来的な意義も強調した。

開通から供用年数を経た高速道路の更新事業は喫緊の課題となっている。1月31日に東日本、中日本、西日本のNEXCO3社が公表した「高速道路の更新計画(概略)」によると、今後必要となる更新事業の延長は3社計で約500㌔(上下線約960㌔)、事業費は約1兆円に達する見通し。

10年後の2032年3月には3社が管理する高速道路延長約6割で供用後40年以上経過するなど、地域活性化や災害時の“命の道”としての高速道路の機能維持は喫緊の課題と指摘されている。料金徴収期間の延長は、新たな更新計画に充てる長期安定的な財源確保に資することになる。

また、確保した財源は暫定2車線区間の4車線化事業にも充てられる見込みで、優先整備区間をはじめとした4車線化事業の更なる推進が期待される。

高速道路のSA・PAの機能高度化に向けて、特定駐車場施設整備事業補助制度も創設する。高速道路会社が自動運転車両の拠点施設や電気自動車充電施設等と駐車場を一体的に整備する際、金融機関から調達した資金の利子補給分について、日本高速道路保有・債務返済機構を通じて無利子で貸し付ける。

高速道路料金を確実に徴収するため、車両の運転者に加え、使用者にも料金請求できることを明確化する。軽自動車、二輪車による料金不払いがあった場合、高速会社は軽自動車検査協会等から使用者情報を取得できるようにする。

パーマリンク