国土交通相の諮問機関、社会資本整備審議会の道路分科会事業評価部会(部会長=石田東生筑波大学名誉教授・特命教授)は15日、直轄道路事業11件の新規事業化を妥当と判断した。高規格幹線道路で妥当とされたのは伊豆縦貫自動車道を構成する天城峠道路(月ケ瀬~茅野)、山陰自動車道を構成する益田道路(久城~高津)、三隅・長門道路の3区間。天城峠道路は伊豆縦貫道でも難所とされた天城峠越えの区間であり、伊豆縦貫道の全線開通へ視界良好となってきた。また益田道路、三隅・長門道路の事業化は山陰道のミッシングリンク解消に向け大きな前進となる。
直轄道路事業11件の事業費計は5870億円で、このうち高規格幹線道路3区間の事業費計は1750億円。政府の2023年度予算案の成立と同時に実施計画が決定する。
高規格幹線道路については、未事業化区間のうち、主要都市間の速達性や大規模災害に対する脆弱性など道路ネットワークとしての課題を解消するとともに、防災、渋滞、事故、走行性といった並行する現道の課題、更には地域の抱える課題解決に資する区間で、事業実施の環境が整っている3区間が選定された。
B/Cで見ると、伊豆縦貫自動車道・天城峠道路(月ケ瀬~茅野)は総費用550億円、総便益440億円で0・8。同道路を含む沼津岡宮~下田間の伊豆縦貫道の総費用8223億円、総便益1兆314億円でB/Cは1・3となり、伊豆縦貫道のミッシングリンクである天城峠道路の整備が必要と認められた。
山陰自動車道の益田道路(久城~高津)は総費用207億円、総便益236億円でB/Cは1・1。三隅・長門道路は総費用459億円、総便益239億円で0・5。両道路を含む山陰道・浜田~小月間は総費用8469億円に対し総便益1兆996億円、B/Cは1・3となることから、今回の事業採択によりミッシングリンクが残されている山陰道の早期ネットワーク化が急がれるところだ。
計画交通量は天城峠道路が約9100台/日、益田道路が約1万1800台/日、三隅・長門道路が約1万100~約1万2000台/日。
山陰近畿道の城崎道路事業化
一般国道のうち、山陰近畿自動車道を構成する城崎道路が今回、新規事業として採択された。城崎道路は北近畿豊岡自動車道の豊岡北JCT・ICから東に延びる延長約7・4㌔の地域高規格道路。地域から強い要望が寄せられている山陰近畿道のミッシングリンク解消へ一歩前進した。
大宮峰山道路に有料導入
国道312号の大宮峰山道路への有料道路事業導入も妥当とされた。大宮峰山道路は京丹後大宮IC~大宮峰山IC間、延長5・0㌔の地域高規格道路で山陰近畿自動車道の一部を構成。2015年度に権限代行による直轄事業として事業化された。今後、有路道路事業の導入で早期整備を目指すことになる。有料投資額は約15億円の予定。