石井啓一国土交通大臣は11月30日の会見で、高速道路の機能強化や関西国際空港の防災機能強化に、国が低金利で調達した資金を長期間貸し出す財政投融資1兆1500億円を活用すると発表した。19年度からの実施に向け、国交省は同日、財務省に追加要求を行った。財務省が年内にまとめる19年度財政投融資計画に盛り込まれる。
高速道路については、国が財投債と呼ばれる国債を1兆円追加発行して、資金を超長期(40年)・固定金利で調達。日本高速道路保有・債務返済機構に貸し付ける。現在の低金利状況から、機構では想定している金利負担との差額分7000億円程度の債務引き受け余力が生まれ、これを高速道路の機能強化として、暫定2車線区間の4車線化等による防災・減災対策、生産性向上のための新名神高速道路の6車線化に充てる。
実際に整備に充てる約7000億円のうち、4車線化整備には約5000億円、新名神の6車線化には約2000億円が配分される見通し。
4車線化は暫定2車線区間(有料)のうち、対面通行区間約1600㌔を対象に、緊急点検を踏まえた土砂災害等の危険性の高い箇所で実施する。具体の箇所については、本年度末頃までに決まる予定となっている。新名神の6車線化整備は亀山西JCT~大津JCT間で実施される予定だ。
関空の防災機能強化では、40年・固定の財政融資1500億円を追加発行し、新関空の金利負担を270億円程度軽減。その軽減分を護岸嵩上げ・排水機能強化等に充てる。