国土交通省は8月27日、16年度予算の概算要求を発表した。一般会計総額は「新しい日本のための優先課題推進枠」1兆4187億円込みで対前年度比15%増の6兆6791億円を計上。うち公共事業関係費は同16%増の6兆93億円で、防災・減災対策を拡充するとともに、豊かで利便性の高い地域社会の実現、経済再生に重点配分する方針だ。
このうち道路関係予算の概算要求額は、国費ベースで同16%増の1兆9254億円、事業費ベースで同9%増の4兆450億円。この中には「優先課題推進枠」4227億円が含まれており、これを除くと国費1兆5027億円、事業費3兆6223億円となっている。
概算要求にあたっては「東日本大震災からの復興加速」「国民の安全・安心の確保」「豊かで利便性の高い地域社会の実現」「日本経済の再生」の4分野に重点化。特に、これら課題に対応するため、道路の機能を最大限発揮するため「賢く使う」、生産性の向上や安全・安心を含めた生活の質の向上等の「ストック効果の重視」に留意した取り組みを進める考えだ。
道路関係予算「優先課題推進枠」4227億円の内訳は「道路の老朽化対策」294億円、「道路ネットワークによる地域・拠点の連携確保」2217億円、「効率的な物流ネットワークの強化」1716億円。
推進枠を含めた各施策の要望額を見ると「道路の老朽化対策」として2053億円を要求。全国の橋梁、トンネルの点検を着実に実施するほか、修繕計画を作成するなど長寿命化に積極的な自治体を重点的に支援する。老朽化した橋梁を撤去する取り組みへの支援も検討する。
高規格幹線道路など「道路ネットワークによる地域・拠点の連携確保」では4283億円を要求。個性ある地域やコンパクトな拠点を道路ネットワークでつなぎ、距離の制約を克服して地域・拠点の連携確保に努める。特に、計画的な整備のため事業進捗を図る必要のある事業を強力に推進する。
また、国際的な都市間競争を勝ち抜く成長力を確保するための「効率的な物流ネットワークの強化」では3779億円を要求。東京・名古屋・大阪の三大都市圏環状道路等の整備を進めるほか、空港や港湾へのアクセス改善を図る。
このほか、高速道路沿道において地域と一体となったコンパクトな拠点形成を支援するため、スマートIC事業を積極的に活用する方針も盛り込まれた。必要性が確認できた箇所については準備段階調査を実施。更に、高速道路に隣接している主要施設へのアクセス性を強化するための、民間施設への直結を含めた新たなルールを整理することも明記された。
社会資本整備総合交付金、防災・安全交付金としては国費1兆574億円、同1兆2853億円が計上された。
このうち、社会資本整備総合交付金については①ICアクセス道路の整備等を通じた物流ネットワークの強化②工業団地の造成等の民間投資と連携して行われるアクセス道路の整備等を通じた成長基盤の強化③地域の拠点して選定された重点「道の駅」の機能強化――等の取り組みに対して重点的に支援を実施する。