中部縦貫自動車道の建設中区間、大野油坂道路(九頭竜~油坂区間)について、工事の難航から「2026年春」としていた開通予定が見直されることになった。
6日、「中部縦貫自動車道事業費等監理会議」の第8回会合が行われ、開通予定を見直し、「工程精査中」とすることが報告された。同会議は、事業費などを適正に監理することを目的に、国土交通省近畿地方整備局と福井県が連携し、事業の進捗状況や今後の見通し、事業費等について情報共有を図っている。
中部縦貫道は全線開通に向け、最後に残った大野油坂道路(九頭竜~油坂区間)15・5㌔で工事が進む。同区間のほぼ中間地点、箱ケ瀬地区の新子馬巣谷橋下部工事で、橋脚基礎のケーソン(構造物)が沈まない等、複数の課題が生じていた。
会議では、有識者会議からの意見として、山側からの想定外の土圧により橋脚を支えるケーソン基礎の沈下が進まない現状が報告された。設計の沈下量は19・5㍍で残り1・6㍍の沈下が必要だが、7月29日時点で2・4㌢、対策を施した後の8月27日時点で10・2㌢と、沈下がほとんど進まない。
また、付近ののり面に複数の亀裂があり、全体が微動していること、別の完成済み橋台が6㌢沈下していることも確認された。
有識者からは「広範囲で地盤が動いている可能性も否定できない」として、安全性確保の観点から「のり面の動く範囲を確認した上で対策を検討すべき」との意見が出されたという。更に、橋を架けるためのケーブルクレーンを設置する地盤に、地滑りを起こす可能性のある破砕帯が発見され、「現設計の見直しが必要」と指摘された。
このため会議では今後、工程を精査し見直していくことを確認。福井県からは「工事の安全確保を前提に、県内全線開通を1日も早く実現してほしい」との要請があった。