国土交通省は2月16日、高速道路の「平日朝夕割引」に代わる新たな割引施策「通勤パス」の社会実験を、現在実施中の石川県に加え、北海道、新潟県、山梨県、香川県、長崎県の全国6道県エリアでも実施すると発表した。社会実験期間は今年4月1日から2025年3月31日まで。
「通勤パス」は、事前登録で指定した区間の利用料金を月初から月末までの1カ月間、曜日や時間帯にかかわらず、最大で50%割り引く制度。全車対象の一律割引ではなく、指定した区間で利用できるETCのフリーパス商品としてNEXCO各社が販売する。
元々は、高速道路に並行する一般道における通勤時間帯の混雑緩和のため、高速道路の「平日朝夕割引」を実施していた。しかし、社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会がまとめた21年8月の中間答申で「多様化する勤務体系への対応を検討する必要がある」等の意見が出されたため、曜日や時間帯指定をなくして実施する社会実験「フリータイム通勤パス割引」が、23年度から石川県の北陸道で始まった。
「平日朝夕割引」の利用は平日6~9時、17~20時に限られ、コロナ禍による勤務体系の多様化に対応できないうえ、渋滞緩和効果は限定的との指摘があった。時間帯に縛られないフリータイムの「通勤パス」割引とすることで、混雑する前後の時間帯へ交通を分散させる目的もあり、先行していた石川県エリアで一定の成果が確認されていた。