◆年頭所感 全国高速道路建設協議会会長(高知県知事) 尾﨑 正直

全国高速道路建設協議会の諸活動につきまして、常任世話人の国会議員の先生方をはじめ、各都道府県の知事や議会議長、関係市町村の皆様に、日頃から多大なご尽力とご指導を賜り、厚くお礼申し上げます。

さて、高規格幹線道路1万4000㌔の整備促進につきましては、今年度より財政投融資を活用し、大都市圏環状道路の延伸や有料道路事業の導入による暫定2車線区間の4車線化について、開通予定が新たに示され進められています。

また、19年度の政府予算案では、広域交通への影響を回避する代替性確保のためのミッシングリンクの解消等に加え、財政投融資を活用した防災・減災対策のための4車線化等や生産性向上のための新名神高速道路の六車線化も盛り込まれました。

全高速がこれまでに国に提言してきた1万4000㌔の早期整備や4車線化・6車線化の達成が大きく前進するものと期待しています。

一方で、昨年は、全国各地に豪雨や台風等が相次いで襲来し、甚大な被害が発生しました。とりわけ平成30年7月豪雨では、西日本を中心に高速道路においても通行止めを伴う大規模な災害が複数発生したことから、人流・物流を確保する上で高速道路が担う重要な役割も明らかになりました。

例えば中国地方では、道路区域外からの土砂流入により、東西の大動脈である山陽自動車道が通行止めとなったものの、短期間で通行を再開していた中国自動車道や山陰自動車道等が代替路としての役割を果たし、九州地方と近畿地方等をつなぐ広域的な交通が確保されました。

また、四国地方では、高知自動車道の上り線の橋梁上部工が流失したものの、4車線化が完了していた区間であったため、被災を免れた下り線を片側1車線の対面通行で利用することにより、約6日間で通行を再開し、交通機能の早期回復につながりました。

これらのことから、大規模災害発生時において、広域からの円滑な支援部隊の進出や物資輸送を確保するとともに経済活動への甚大な影響を回避するといった観点においても、高速道路ネットワークの整備は極めて重要であり、加えて、暫定2車線区間の4車線化が非常に有用であることも改めて認識されました。

高速道路は、恒常的な渋滞区間の解消及び老朽化対策や耐震強化等、早急に対応が必要な様々な問題に直面しています。 これら様々な課題を着実に解消するとともに、地方創生や災害への備えを高めるために不可欠な信頼性と安定性が高い高速道路を早期に整備するためには、道路関係予算の拡大と所要額の確保が重要です。

更に、長期安定的に道路整備や管理が進められるよう新たな財源の創設についての検討も必要であると考えています。

全高速としましては、来年度予算の動向に注視しながら、引き続き会員の皆様と一丸となって高速道路の整備促進を国に訴えていくとともに、国民の皆様に高速道路の有用性をよりご理解いただけるよう努力してまいります。

関係各位の一層のご指導、ご支援をお願い申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

全国高速道路建設協議会会長(高知県知事) 尾﨑 正直

パーマリンク